パームスプリングスが取りあつかっている家具は、製造されてから大体半世紀ほど時間がたっているもの。
人間も50年経てば相当な変化があるように、見て取れる変化が家具やインテリアにも起こります。
そのままにしておくとダメージがダメージを作り、負の連鎖…というほど大げさなものではありませんが、悪くなっている個所を見極め、手直しをする。
これをやるやらないで、半世紀捨てられずに残ってきた家具がこの先も捨てられない道をたどる可能性が高くなる、と信じてリペアしています。
10年もリペアをやっているとダメになる箇所が大体わかってきまして。
全てをピッカピカ―の新品のようにはいたしません。皆に愛され使われてきた証はけしても消しきれないものもあります。上手にポイントを押さえ、愛されキズは残して、温かみのある仕上げを心がけております。
例えば、木製の家具だとまずは分解、剥離。古い塗装をきれいに落として、素材を見極めます。
お化粧やヘアカットと同じでまずは個々の個性や特性をつかむ。
そうしてからそのコにあった手直しや仕上げをしていくと、ウレタン塗装も厚塗りせずにすんで、ナチュラルな仕上がりになるわけです。
結果、環境にも優しい作業をしていると、最初からの目的ではなかった素晴らしい貢献ができたりなんかして、鼻高々なリペア作業なのです。
ところで。
ウレタン塗装と聞くと、木目もほとんど見えないツヤツヤな質感をイメージする方が多いのではないでしょうか。パームスプリングスで言う「ウレタン塗装」は、木目も楽しめ木のさらっとした質感も感じられる、薄塗りが基本。それでいて、多少の水気なども気にせず使えお手入れもほとんど不要な、見た目も実用性も兼ね備えた塗装です。
この質感、なかなか写真で伝えられないのがもどかしい。。ぜひ、お店で体感してください。
話は戻りますが、引出しや扉の調整などもスムーズに使えるよう細かく調整します。それもこれも、この先も捨てられず長く愛される道をたどってもらうため。妥協はしません。
同様に、ランプも分解から。
中古の照明なんてショートが怖い!アメリカと日本じゃ規格が違うから使えないんじゃないの?なんていう声も聞こえてきそうですが、全て分解して配線しなおすことで、そのランプの弱いところなんかも見えてきて、より安全で、もちろん日本のご家庭で使えるランプに生まれ変わるのです。
パーツも自分の指が削れるのではないかと思うほど、細かなものまで磨くんですよ。
家具から小物に至るまで同様で、基本中の基本はクリーニング。それから個々の個性をいかしてリペアしていきます。
その道のプロが必要な時は、熟練の椅子屋さんや時計やさん、ネジ屋さんなどリペアネットワークを駆使して、それはもう、サーキットのピットクルーのごとく取りかかるんです。
そもそも買付けでひとつひとつ目を付けて確認して仕入れた商品は、すでに愛情たっぷりになっていますが、さらにクリーニングやリペアという作業を経て、ますます愛情たっぷりになってお客さまの元へ旅立つ訳ですから、言うまでもなくアフターフォローも万全です。
つらつらと書き連ねてきましたが、とにかく言いたいのは、愛すべきビンテージアイテム達を、この先も愛情たっぷりに長く使ってほしい!ということ。
それが、パームスプリングスがリペアをする理由です。